脊椎脊髄外科

診療科の特色

 2024年1月より京都桂病院に『脊椎脊髄外科』を新しく開設し、同年4月からは更に人員を増員し京都でも屈指の規模による『脊椎脊髄センター』としてスタートいたしました。
 どうぞよろしくお願いいたします。我々のチームは最近の人気漫画にあやかってSPINE FAMILYと称しています。これまで京都の西京・乙訓地域とくに当院の近隣では脊椎脊髄疾患の外科的治療を含む専門診療を行う施設は少ないのが現状でした。そのため医療圏外、または他府県への紹介も多く、地域の先生方、患者様には大変ご迷惑をおかけしてまいりました。これからは、我々のチームがしっかりと脊椎脊髄疾患の診療を担ってまいります。

 さて、脊椎脊髄センターを開設するにあたり、すべての脊椎脊髄手術をカバーし、安全で低侵襲に治療を行えるようにするため最新の設備を導入しました。我々、脊椎脊髄外科医の目である顕微鏡(図1)、いつでもどこでも脊椎を全方位に撮影できる3D C-arm(図2)、フルカーボンで金属ノイズを除去した手術台(図3)、それらを統合して術者を導くNavigation System(図4)、そして、きわめて低侵襲に脊椎脊髄疾患を治療できる脊椎内視鏡システム(図5)です。これらを駆使して、これまでの治療法を変え、さらに進化させていきます。

  
(図1:Leica社製)     (図2:FUJI FILM社製)    (図3:瑞穂医科器械社製)
 
(図4:Medtronic社製)    (図5)

 逆に、脊椎脊髄センターを開設するにあたっても、我々が変えていないことがあります。それは『ひと』を大切にすることです。

 まず、日常の診療にあたっては『患者さん』、『ご家族』を大切にしています。医療サイドからの独りよがりの視点ばかりではなく、患者様の立ち位置や社会背景をできるだけ見つめて、患者様と御家族が満足のいく治療結果へと導いてゆく・・。特に脊椎脊髄外科は基本的に機能外科でありますので、我々医療サイドが自己満足に陥るのではなく、真に患者様がご満足いただけるように、手術治療のみならず、その他さまざまな治療を取り入れていきたいと考えています。

また、FAMILYの中においても『ひと』を大切にして現在のチームを作ってきました。昭和の名曲にあるように、「人は石垣、人は城。情けは味方、仇は敵。」といいます。FAMILYのそれぞれが、互いに想いをかけ、その人の能力を活かすように影響を及ぼしあう。結果、チーム全体に成果として返ってくる・・そんな考えのもと、FAMILYは強い絆で団結し、互いの熱意を尊重して、離れることなく成長してきました。FAMILYのメンバーは、全員が脊椎脊髄疾患治療のオールラウンダー、そしてエデュケーターでありながら、脊髄内視鏡のトップランナー、成人脊柱変形治療のエキスパート、臨床知見を世に広めるクリニカルリサーチドクター、骨粗鬆症のスペシャリストなど専門性をもって活躍しています。

 これから、京都桂病院脊椎脊髄センターは、『ひと』を大切にしながら『最新』の技術と設備をもって、しっかりと地域医療へ貢献したいと考えております。ご期待ください!

診療内容

教育認定・学会等認定施設

症例

地域医療機関の先生方へ

 2024年1月より常勤医1名による準備期間を設け、新年度初め4月からは常勤医4名体制にて、京都桂病院で『脊椎脊髄外科』を開設いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

  

 当科は脳神経外科を母体とするNeuro-spineの専門チームです。京都府市西部地域、とくに当院の近隣地域では脊椎脊髄疾患の外科的治療を含む専門診療を行う施設は少ないのが現状です。これまでは医療圏外、または他府県への紹介も多く、地域の先生方、患者様には大変ご迷惑をおかけしてまいりました。これからは、当科がしっかりと脊椎脊髄疾患患者様の受け皿となり地域医療へ貢献してまいりたいと思います。

 脊椎の加齢変性は早ければ10歳代から始まり、MRIによる検索では50歳までには約8~9割で椎間板変性が認められます。脊椎変性疾患、変形性脊椎症は、男性に多いものの性別を問わず、40~60歳代に初発のピークを迎え、80歳を超えても発症の機会があります。本邦では、第二次ベビーブームの人口マスが50歳に突入し、ここ20~30数年は日常診療において増々遭遇する機会が多くなります。そのように激増する脊椎変性疾患のみならず骨粗鬆症を含めた脊椎疾患患者様の内科的治療やフォローアップを、地域の先生方とともに当院がしっかりと対応していきたいと考えております。そして外科的介入を要する患者様に対しては、適切な時期に除圧術、固定術、矯正術、経皮的椎体形成術など、また最近では低侵襲治療である脊椎内視鏡手術を、積極的に行ってまいります。

 さて、我々の診療の基本姿勢ですが、それは『For the Patient』の一言に尽きます。脊椎脊髄外科が対象とする症状の主たるものは「痛み」や「しびれ」となります。国際疼痛学会によると「痛み」の定義は『感覚かつ情動の不快な体験』となっております。定義に挙げられている、どの言葉をとっても曖昧でとらえどころのない非科学的な印象があります。患者様の「体験」が重きをなすこの分野は、その治療対象が曖昧であるが故に、診療方針の決定には一例一例を真摯に診療し、粘り強く、患者様からいただいた治療成績データをもとに客観的なエビデンスに基づく治療をなすことが重要です。医療サイドからの視点ばかりではなく、患者様の立ち位置や社会背景をできるだけ見つめて、患者様と御家族が満足のいく治療結果へと導いてゆく・・。特に脊椎脊髄外科は基本的に機能外科でありますので、我々医療サイドが自己満足に陥るのではなく、真に患者様がご満足いただけるように、手術治療のみならず、その他さまざまな治療を取り入れていきたいと考えております。

 地域の先生方におかれましては、脊椎脊髄疾患の患者様につき是非当院へ御紹介のほど何卒よろしくお願いいたします。京都の西部地域の皆様が「寝たきり」を予防して、健やかなる人生を送っていただけるよう尽力する所存です。どうぞよろしくお願いいたします。簡単ではありますが、脊椎脊髄外科開設の御挨拶とさせていただきます。

診療科ページへ戻る