診療科の特色
2019年6月、臓器横断的ながん化学療法およびがんゲノム医療を担う診療科として、化学療法部を改めて腫瘍内科が発足いたしました。
2018年4月に当院は「がんゲノム医療連携病院」に指定され、京都大学医学部附属病院を中核病院としてがんゲノム医療に従事し、2018年10月より先進医療Bの枠組みで国産の遺伝子パネル検査であるNCCオンコパネルによる検査を開始しました。
2019年6月には米国foundation medicine社のfoundation one cdxとともに保険診療下での検査を開始し、検査結果を京大病院腫瘍内科及びその連携病院17施設とエキスパートパネルというWeb開催のカンファレンスで討議し、治療方針決定や二次的所見への対応を行っております。二次的所見とは、がん遺伝子検査において解析対象にはなっているものの、本来の検査目的ではない所見で、特に生殖細胞系列に病的と確定できる遺伝子変異が検出されることであり、遺伝性疾患の原因遺伝子として患者さん本人および血縁者への対応が必要となります。当科では2019年4月より常勤の認定遺伝カウンセラーを配置し、遺伝カウンセリングや遺伝性疾患確定のための遺伝学的検査を行っています。
また遺伝子パネル検査においては治療関連遺伝子が認められる割合は5割程度ですが、実際治療に到達できる割合は各種治験や臨床試験、適応外使用を含めても1~2割程度と低くなっています。この問題を少しでも改善すべく積極的に治験・臨床試験に参加することでがん難民の減少に寄与できると考えており、2020年2月よりsclum-japanという広範な固形がん患者さんを対象にした、がんの遺伝変化を調べる世界最大規模のプロジェクト(国内の約215件の医療機関と約17社の製薬企業、検査会社などが参加)に参加しています。
sclum-japanでは患者さんへの負担が少なく、検査結果が得られまでの期間が短いリキッドバイオプシーや、最新の遺伝子パネル検査を用いて、がんの原因となる遺伝子変化を調べ、最適な治療法を検討することができます。
また、プラットフォーム型と呼ばれる体制により、さまざまな治験の中から登録可能な治験を調べることができます。
さらに、本プロジェクトで集められた患者さんの臨床情報や遺伝子変化の情報は、新薬の研究や将来患者さんの利益につながる研究に活用されます。
これらの取り組みを経て、最適ながん化学療法を地域の患者の皆様にお届けできるように更なる努力を行ってゆきます。