診療科の特色
多くの他の疾患と同じく、乳癌の治療法も日々進歩しており、専門的な知識がなければ診療が困難です。手術はもとより再発予防のための補助療法など、適切な治療の選択や経過を慎重に追うのに総合的な判断が要求されます。ただ、日々の診療は医師のみで行えるものでは決してなく、診療の質は、様々な職種の人達と共同で行った総合力の現れであると言っても過言ではありません。
当院では、乳腺診療チームを結成し、乳癌に対して検診、治療、緩和と一貫して多職種により様々な面から検討を行い、責任を持って患者さん中心の医療、精神的サポートを提供しています。
癌診療の個別化に向け、2017 年4 月から専任の遺伝カウンセラーによる遺伝性乳癌に関するカウンセリングを開始しました。現在、遺伝性乳癌卵巣がん症候群(HBOC)の遺伝子検査は、適応のある方は保険診療で、適応とはならないが希望される患者さんやご家族の方等は、自費で受けて頂くことが可能です。また、組織の免疫染色による免疫チェックポイント阻害薬の適応有無 OncotypeDx 検査、オンコパネルなどの遺伝子検査などを行い、更なる個別化治療を提供しています。日々の診療面では、週4 日の終日外来に加え外来日以外にもできる限り対応しています。形成外科と連携し自家組織による乳房再建を主体とした、整容性の高い手術を提供しています。また、京都市乳がん検診事業にも積極的に参加し、毎年増加する乳癌検診受診者や乳腺疾患患者の皆様に対して、total breast care を実践すべく受診しやすい環境の整備を進めています。当院は地域がん診療連携拠点病院であり、乳腺科としても標準治療を適切に提供するのみならず、最近のEBM を構築する役割も患者さんの承諾の下に行うようにしております。また、患者さんの情報を地域の先生方と共有し、1 人の患者さんを病院と地域の先生方の“2 人の主治医” で診てゆく、より安全な医療を構築する体制づくりに努めています。