婦人科領域におけるロボット支援下手術
はじめに
現在、産婦人科ではロボット支援下手術を行っています。ロボット支援下手術は、2018年4月より婦人科領域でも保険適応手術となり、以降、本邦において急速な拡大を見せております。そのため、先進技術から今や日常臨床に必要不可欠な技術となっています。
ロボット支援下手術とは
近年、低侵襲手術への需要の高まりは診療科を超えた領域横断的な潮流であり、これは今後も変わることのない大きな方向性であると考えられます。特に、婦人科手術は、狭い骨盤内をフィールドとしているため、限られた空間において緻密で繊細な操作を可能とするロボット支援下手術とは相性の良い領域と言えます。 当院におけるロボット支援下手術は、最新の第4世代da Vinci Xiサージカルシステムを使用して施行されております。
腹腔鏡下手術では、腹壁を貫通するトロッカーを通過し鉗子が挿入されているため、鉗子の動作としてはトロッカーを支点とした旋回運動とトロッカーを軸とした直線運動に制限されます。しかしながら、ロボット支援下手術では、鉗子に関節を有するため、骨盤内で手首の運動に近い動作が可能となり、腹腔鏡下手術で到達が困難であった場所を容易に操作することが可能となります。
また、視野についてもロボット支援下手術では、サージョンコンソールを術者がのぞき込むことで、腹腔鏡手術よりも拡大した良好な3D視野を得ることが出来ます。
当科におけるロボット支援下手術への取り組み
産婦人科では、2022年に47例のロボット支援下手術を行いました。婦人科領域においては2つの手術が保険適応となっていますが、ロボット支援下腹腔鏡下子宮悪性腫瘍手術(子宮体がんに限る)を12例(2022年)、ロボット支援下腹腔鏡下腟式子宮全摘出術が33例(2022年)を行っています。ロボット支援下手術に対応可能な術者の確保にも努めており、この数年、ロボット支援下手術件数は増加傾向にあります。