人工関節センター

人工股関節置換術

 大腿骨の外側で体表からふれる部分=大転子(だいてんし)を中心として通常は11-14(体格や変形の程度によります)cmの皮膚を切開し、外側から関節内に進入する方法で手術を行います。

 骨盤の骨である股臼については残存している軟骨と硬くなった骨=硬化骨(こうかこつ)を丸くくり抜くような器械=リーマーで削り、中央が半球状に凹んでいて本体も半球状のポリエチレン製部品を医療用のセメントで固定します。(年齢、骨質、骨盤の傾き、脱臼のしやすさなどを考慮して脱臼しにくい部品を使用することがあります)部品同士がこすれて傷む摩耗(まもう)の低減で長期生存に有利と言われている、ビタミンEを含有したポリエチレンを使用するようにしています。大腿骨側は骨頭の部分で骨を切り、内部=髄腔(ずいくう)は海綿骨というスポンジ状の骨であるため、ラスプという器械でスペースを拡大し、ひらがなの“へ”の字状であるステムと呼ばれる金属製の部品を同様に医療用のセメントで固定します。先端に丸い部品をとりつけて、擬似的な骨頭を再現し、臼蓋側の丸く凹んだ部分と、疑似骨頭のところでくるくる動かせることができるので、術後も大腿骨を曲げたり捻ったりできます。


 しかしいくつか問題はあり、①人工物を体内に留置しますので、どのくらい傷まずに長持ちするか(一般的には20年前後の長期生存は期待できます)②ある角度以上に曲げようとすると部品同士が干渉していまい、それ以上動かそうとしたときに凹みから外れてしまう脱臼(だっきゅう)のリスク、③人工物まで及んでしまった場合には再手術が必要になる感染(手術創からの感染率はおおよそ1%と言われています。)などが挙げられます。

 ①については適切なセメントテクニックを応用し、変形が強い場合には骨を補い=骨移植(こついしょく)、必要によってはさらに補強部品を用いて対応します。②についてはリハビリを行っていただく理学療法士とも十分に連携し、脱臼しやすい動作を避けた生活パターンを習得いただいています。③についてはクリーンルームでの手術、予防的抗菌薬投与、セメントに抗菌薬を含有させる、手術前に歯科健診に行っていただくなど感染予防に努めております。

 体格や骨の硬さ、変形の程度にもよりますが、手術時間は2時間~2時間半程度、入院期間はもともとの体力や術後経過にもよりますが、通常2~3週間入院リハビリを行い杖での歩行が可能となれば退院いただき、外来でのリハビリを術後5ヶ月程度まで続けます。

 手術を行う患者さんは70歳前後の患者さんが多いですが、30代~90代まで幅広い年齢の患者さんに手術を行っています。手術するタイミングについては外来で十分お話したうえで決定するようにしていますので、どうぞお気軽にご相談ください。

若年者の術前臥位

術前臥位

術後臥位

術後臥位


 骨盤の傾きがきつく、急速に関節の破壊が進行した患者さんです。臥位と立位ともに骨盤の後方傾斜が強く、姿勢によって骨盤の傾きが大きく変化するため脱臼のリスクが高いと判断し、抜けにくい部品(Dual Mobility)を使用しました。

術前(臥位)

術前(臥位)

術前(立位)

術前(立位)

術後(臥位)

術後(臥位)


 他院で10年以上前に人工股関節手術をされた患者さんで、疼痛が出現し、部品の摩耗と、骨の溶解を生じていた患者さんに対して、再置換術を施行しました。大きな骨移植と補強する部品(プレート)を併用しています。6時間程度手術時間を要しましたが、輸血もなく経過し、6週程度の入院リハビリののち、自宅退院されました。

術前臥位

術前臥位

術後臥位

術後臥位

人工膝関節置換術

 膝の前面に膝を伸ばした状態で約10~15cm、膝を曲げた状態で約15~20cmの皮膚切開をし、膝蓋骨(お皿の骨)を外によけて関節を展開します。直接あたっている骨の端を大腿骨、脛骨ともに数mmから1cm程度切除して、金属の部品を医療用のセメントを用いて、骨に固定します。金属同士が当たらないようにするために間にはポリエチレンでできたヒンジのかわりになる部品を挿入しますので、術後も曲げたり伸ばしたりすることが可能です。体格や骨の硬さ、変形の程度にもよりますが、手術時間は1時間半~2時間程度、入院期間はもともとの体力や術後経過にもよりますが、通常2~3週間入院リハビリを行い杖での歩行が可能となれば退院いただき、外来でのリハビリを術後5ヶ月程度まで続けます。

 一般的には下肢の構造上、内側の関節が痛むことが多いですが、外側が痛み変形している症例にも通常どおり手術を施行しました。

術前正面

(術前正面)

術後正面

(術後正面)

 変形が強い症例に対してはステムと呼ばれる補強部品と本人から摘出した骨を加工して不足している部分を補う自家骨移植(じかこついしょく)を併用して手術することがあります。

術前正面

(術前正面)

術後正面

(術後正面)

 内側のみ痛んでいる症例に対して内側のみを置換するインプラントもありますが、さらに年齢を重ねられ外側が痛んでしまった症例に対して内側置換→全置換へ再手術した症例もあり、基本的には全置換を行っています。

術前正面

(術前正面)

術後正面

(術後正面)

人工肩関節置換術

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