四肢外傷性疾患

当院では転倒による手首の骨折から、もっと大きなエネルギーで生じる太ももの骨の骨折まで幅広く対応しています。お子さんが骨折された場合にも手術を含めた治療オプションを可能な限り早期に提案、遂行するようにしています。

大腿骨近位部骨折

加齢に伴って生じる代表的骨折の一つです。日本では高齢化にともない増加しています。当院では骨折部位に応じて髄内釘固定やスクリュー固定、人工骨頭置換術、人工関節置換術を行っております。特に重篤な併存症のない方ではおおむね搬送後48時間以内の手術を行っております。人工骨頭置換術においては長年のノウハウを生かして、最新のガイドラインで推奨されている骨セメントを使用しています。 特殊な事情がなければ手術後翌日からベッドを離れて歩行練習に入ります。小康状態になれば連携病院へ転院してさらにリハビリを充実させ、早期退院を目指すことが多いです。連携病院を退院した後は骨折部がしっかり安定するまで当院外来でチェックしています。

スクリュー固定

大腿骨頚部骨折に対するスクリュー固定

大腿骨転子部骨折に対する髄内釘固定 手術前

(手術前)

大腿骨転子部骨折に対する髄内釘固定 手術後

(手術後)

大腿骨転子部骨折に対する髄内釘固定

橈骨遠位端骨折

これも加齢に伴って生じる代表的骨折の一つです。転倒時に手をついたことで受傷することが多いです。当院では特に重篤な併存症のない方では、体にやさしい神経ブロックで、手首の骨に沿いやすい形状に設計されたロッキングプレートを用いて手術を行っています。

橈骨遠位端骨折に対するプレート固定 手術前

(手術前)

橈骨遠位端骨折に対するプレート固定 手術後

(手術後)

橈骨遠位端骨折に対するプレート固定

上腕骨近位部骨折

転倒し肩をぶつけた、その後肩が上がらないといった直接的な外力による骨折が多いです。骨折の仕方やご年齢に応じて、手術をしない治療、金属で固定する治療(骨の中に金属を入れる、または外から当て板で固定する)、人工関節に変えるなど様々な治療法があります。当院では患者様の骨折型や希望に応じて、上記のうち最も適切な治療法をご提案させていただきます。

上腕骨近位端骨折に対するプレート固定 手術前

(手術前)

上腕骨近位端骨折に対するプレート固定 手術後

(手術後)

上腕骨近位端骨折に対するプレート固定

骨粗鬆症

上記の骨折がご高齢の方で多い理由は加齢とともに骨が弱くなる骨粗鬆症が背景にあることです。骨粗鬆症があるとちょっとした軽いけがで思いがけない骨折が生じ得ます。当院では股の骨(大腿骨)と腰の骨(腰椎)に対して評価する、信頼性の高い骨塩定量検査(DXA(デキサ)法による骨密度測定)を行っております。手術後も骨粗鬆症の治療を行うことで将来の骨折を予防しています。

脛骨骨折

スキーでの転倒や高所からの転落など比較的大きなけがで生じます。膝関節近傍の骨折(脛骨高原骨折)、すねの骨の真ん中(脛骨骨幹部骨折)など損傷個所により治療法は様々で、手術が必要な場合はより適切なものを選択するようにしています。

膝関節近傍の骨折(脛骨高原骨折)では軽い骨折であっても早期のスポーツ復帰を希望される場合は手術を考慮することがあります。当院では関節鏡視像も参考にしながら関節面を整復し、さらに丁寧なリハビリを行うことで軟骨の損傷を最小限にしようと努めています。

脛骨高原骨折に対するプレート固定 手術前)

(手術前)

脛骨高原骨折に対するプレート固定 手術後

(手術後)

脛骨高原骨折に対するプレート固定

脛骨骨幹部骨折に対する髄内釘固定 手術前

(手術前)

脛骨骨幹部骨折に対する髄内釘固定 手術後

(手術後)

脛骨骨幹部骨折に対する髄内釘固定 金属を除去した治癒後

(金属を除去した治癒後)

脛骨骨幹部骨折に対する髄内釘固定

アキレス腱断裂

若年では剣道の踏み込みやバレーやバスケットボールでのジャンプなど、アキレス腱に強い力がかかり、発生します。受傷時は踵に強い衝撃を感じることがあります。ご高齢の方では足をくじいただけで発生することもあります。つま先立ちができず、歩きにくくなります。当院では早期復帰が可能で再断裂が少ない手術加療を中心に行っています。術後も改良した装具を使い、ギプス期間を短縮して快適にリハビリができるように工夫しています。

アキレス腱縫合手術後に使用する装具

アキレス腱縫合手術後に使用する装具

上記以外にも四肢外傷は部位(手~足まで)、程度(捻挫~骨折まで)など多岐にわたりますが、一例一例適切な方法をご提案し、より良い方法を模索しながら対応しています。

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