眼科

抗VEGF療法について

2023/07/01

目が見えにくいから眼科へ受診してみたら、すごく高額な治療「抗VEGF療法」をすすめられてしまったというケースは、最近では珍しくないと思います。
今回はその「抗VEGF療法」についてQ&A形式で解説してみます。

Q:抗VEGF療法はどんな病気に行うのですか?

A:坑VEGF療法の対象疾患で代表的なものは、加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞症、糖尿病黄斑浮腫、の3つです。ほかに近視性脈絡膜新生血管や未熟児網膜症などがあります。

Q:抗VEGF療法とはどんな治療ですか?

A:加齢黄斑変性では網膜の中心部(黄斑といいます)に新生血管が発生し、視力が低下します。網膜静脈閉塞症や糖尿病網膜症でも、網膜の中心部(黄斑)にむくみ(浮腫といいます)が生じて、視力が低下します。こういった網膜の新生血管や黄斑浮腫の発生にはVEGFという物質が大変重要な役割を果たしていることがわかっています。
坑VEGF療法によってVEGFの働きを抑制することで加齢黄斑変性における新生血管の活動性を抑えたり、網膜静脈閉塞症や糖尿病網膜症における黄斑浮腫を改善させることができます。
坑VEGF療法で使用される薬剤を坑VEGF薬といいます。

Q:坑VEGF薬にはどのようなものがありますか?

A:2023年4月現在日本で使用できるのはアイリーア、ルセンティス、バビースモ、ベオビュの4種類です。ルセンティスの後発薬品(同じ成分で同じ効果が得られる)としてラニビズマブBSという薬剤も発売されています。
それぞれ使用できる疾患や、作用、価格が少しずつ異なります。どれがよいかはほとんどの場合は主治医が決めることになります。

Q:坑VEGF薬はどこに注射するのでしょうか?

A:坑VEGF薬の場合は硝子体注射といって、眼球の白目の部分から眼内に直接注射します。
大変細い針と点眼麻酔薬を使用するので疼痛はわずかです。

Q:坑VEGF薬はどのくらい高いのでしょうか?

A:薬価(厚労省が決めた薬剤の販売価格)は、1回につき8〜16万と、薬剤の種類により差があります。実際に患者さんが窓口で負担するのは健康保険証があればその1〜3割(1割なら8,000〜16,000円)となります。


眼科 部長 栗本雅史

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