小児科

思春期に見られる体調不良

2023/06/01

小児科といえば小さい子供たちが主役ですが、ときどき10代の患者さんも受診されます。
どんな病気にもかかりやすい時期がありますが、皆さんは思春期に見られることの多い「小児起立性調節障害(OD)」をご存知でしょうか?

10代の患者さんがいろいろな症状を抱えて来院されると、まずは丁寧にお話を聴き重大な病気がかくれていないか診察や検査をします。でも何も異常が見つからないことがほとんどです。異常がないことで安堵はされますが、それで症状・悩みが解決するわけではありません。

ここでいう症状とは、立ちくらみ、だるさや疲れやすさ、朝の起きづらさ、頭痛、腹痛、食欲不振などです。これらが複数見られる場合には、ODの可能性を念頭に置き、改めて問診をおこない、起立試験(臥位から立位になる際の血圧や脈拍数の変化をみる)で診断します。

思春期の体の変化に自律神経の調節機能が追いつかず様々な症状が出る、それがODという病気です。ODの症状は午前中に強く午後から夜にかけては改善するので、怠けや不登校と勘違いされがちですがそうではありません。身体の病気です。
時間帯や日によって症状が変化することを、周囲の大人が理解して支えることが大切です。そして時が来れば必ず良くなるので、病気とうまく付き合いながら回復を待ちましょう。

患者さんに心がけてほしいことが3つあります。1つめは水分を多めにとることと塩分も少し余分にとること。2つめは夜更かしをしない、生活リズムを崩さないこと。3つめは毎日体を動かすこと。生活への影響が大きい重症の場合にはお薬で治療することもありますが、軽い症状ならこれだけで改善するはずです。
 ODは春から夏にかけて症状が強くなると言われています。高校生になってから発症する人もいます。上にあげたような症状に悩む子供さんには、ぜひ一度小児科に相談してみることをお勧めします。


小児科 部長 澤田眞知子

一覧ページへ戻る