精神科

コロナ対策が変化していく中でのメンタルヘルスについて

2023/05/01

2023年5月、新型コロナウイルスの流行も次第に落ち着きを見せはじめています。流行当初はこのウイルスの未知の影響におそれを抱き、まん延を防ぐためにマスク着用や不要不急の外出自粛、3密の回避など様々な対策が取られました。当初はそんな対策に戸惑い、ストレスを感じつつも、社会や生命を守るためと受け入れ3年近くを過ごしてきました。

人は不思議な生き物で、当初はストレスと感じていたこれらの対策が今や当たり前となり、今度はこれらを緩和していくことに不安や新たなストレスを感じている人も少なくありません。つまり、私たちはものごとの変化に対してストレスを感じやすい生き物なのです。

コロナ対策の変化だけでなく、5月は新しい学校、新しい職場、新しい住環境などの変化を迎えている人も少なくありません。では、そんな中で私たちはこの変化に伴うストレスとどのように付き合っていけば良いのでしょうか。

2つめのお勧めがあります。1つはこの変化を単なるストレスではなく成長の機会ととらえて楽しむこと。何かを失うかもしれませんが、同時に新しい何かと出会ったり発見したりするのは楽しく、喜びに満ちています。
もう1つはルーティンです。元メジャーリーガーのイチロー選手は2度と同じ球の飛んでこない変化だらけのバッターボックスで、安定的に力を発揮するために独自の儀式的動作(ルーティン)を行ってから打席に臨みました。このルーティンこそが心を落ち着かせイチローをイチローたらしめた強さの秘訣だとも言われています。

ルーティンは人それぞれでなんでも良いと思います。テストの前に「大丈夫」と繰り返し言う。プレゼンテーションの前に軽く伸びや深呼吸をする。簡単な行いかもしれませんが、その効果は決して小さいものではありません。心を落ち着けて変化にのぞみ、変化を楽しみましょう。

昨日と全く同じ今日はありませんし、明日も今日とは違った1日となるでしょう。変化は決して悪いものではありません。


精神科 副部長 伊佐将人

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