消化器内科

肝がんのお話

2022/07/04

”肝がん”は以前に比べて減少していますが、それでもまだ、多くの方が命を落とす病気です。
肝がんには”肝細胞がん”と、”胆管細胞がん”の二種類があり、全く異なった病気です。今回は、肝細胞がん(以下、肝がん)のお話です。

早期発見のために

肝がんの治療で大事なことは早期発見です。がんの初期には全く症状はありません。つまり、肝がんを見つけるためには、何らかの検査を受ける必要があります。最も簡便な検査方法は、腹部超音波(エコー)検査です。エコー検査は、体に負担の少ない検査ですので、必要であれば何度も繰り返して検査を受けることができます。
最近ではエコー検査で肝臓の硬さを測ることができます。肝臓が硬い方は、肝がんができやすいと言われており、この肝臓の”硬さ”が、肝がんの出来やすさの目安になるのです。

肝がんの治療

肝がんの治療には切除術、体外から針を刺してがんを”焼いて”治療するラジオ波焼灼術、カテーテルと言われる細い管を使う治療、抗がん剤による薬物治療、また、放射線治療などがあります。京都桂病院では以前から、がんの状態に応じて最適な治療を行える体制をとっています。
この中でも最近、変わってきているのが薬物治療です。肝がんの薬物治療の中心は、がんを栄養する血管を減らす分子標的薬と言われる薬です。長らく1種類の薬剤しかありませんでしたが、2017年以降、有効な薬剤が次々登場し、現在では6種類が使用可能となり治療の選択肢が大幅に増えました。2020年からは、この分子標的薬に免疫療法を併用する治療が初めて登場しました。この併用治療は、これまでの治療より効果が高いことが報告されており期待が持てます。一方で、どの薬剤にも副作用があるため開始時や治療中は注意が必要です。京都桂病院では、他科の医師や、薬剤師とも連携して副作用の発見、軽減にも努めており安心して治療を受けていただける環境を整えています。

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