産婦人科
お腹に傷がゼロの腹腔鏡手術
2022/06/06
お腹に傷がゼロの腹腔鏡手術
近頃は、外科・泌尿器科・婦人科などの腹部臓器を扱う科では腹腔鏡手術が主流となっています。私が医師になった2000年代初頭は、婦人科での手術はほとんど開腹手術でした。当時の腹腔鏡手術は難易度が低いとされる卵巣・卵管の病気だけに行われており、子宮の病気は開腹手術や腟式手術で行われていました。その後、医療機器の進歩と術者の手技取得により子宮の病気にも行われる様になり、現在では子宮筋腫などの良性疾患から子宮頸癌・子宮体癌などの悪性疾患まで腹腔鏡手術が行われています。また、難易度の高い子宮の病気にはロボット支援下手術(da vinci手術)も行われています。
腹腔鏡手術やロボット支援下手術は、通常カメラを入れる創と鉗子を入れる複数の創を用いる多孔式(通常3〜5ヶ所の創)で行われます。開腹手術の創よりは相当小さいですが、創が複数残るため、若干女性などの創を気にされる方に対しては完璧な手術とは言えません。当科では私が着任した2019年以降、臍の1つの創からカメラと複数の鉗子を入れる単孔式腹腔鏡手術を積極的に行ってきました。臍の創部はへこんだ臍の中に入り最終的にほとんどわからなくなるため、患者さんには非常に満足していただいております。ただ、単孔式腹腔鏡手術といえども無傷な手術ではありません。
真の意味での無傷な低侵襲手術を追求し、2022年からまったくお腹に傷をつけない”経膣腹腔鏡手術(V-Notes)"を導入しました。経膣腹腔鏡は、昔から行われている腟式手術と近年行われている腹腔鏡手術が融合したハイブリッドな手術です。この手術を行っている施設は国内でも少なく、京都府内で未だないと思われます。現在は、子宮筋腫・子宮頸部異形成。子宮脱のような子宮の病気に限って行っておりますが、今後は卵巣・卵管の病気にも導入予定です。