眼科

糖尿病網膜症ってどんな病気?

2022/02/01

糖尿病網膜症ってどんな病気?

お正月に食べ過ぎたと気にされている方はたくさんいると思います。
食べ過ぎと糖尿病は必ずしも関係ないのですが、今回は糖尿病網膜症のお話しです。

空腹になると誰でも食事をします。食後は血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高くなります。通常はインスリンというホルモンの働きで血糖値がまた正常範囲に戻るのですが、血糖値とインスリンのバランスが崩れて血糖値が持続的に異常に高くなる状態を糖尿病といいます。
さて、糖尿病で怖いのは合併症です。糖尿病網膜症だけでなく、腎症(透析など)、神経症、脳梗塞、心筋梗塞、足壊疽(足が腐る)、など様々な合併症があります。
糖尿病網膜症というと失明する怖い病気と思う方も多いのですが、最初はちょっとした変化、すなわち網膜の小さな出血から始まります。
進行してくると血管が脆くなって黄斑と呼ばれる網膜の大事な部分がむくんだり(黄斑浮腫)、血液中のたんぱく質や脂質の成分が網膜内に沈着したります。もっと進行すると網膜から新生血管が生じ、眼内の大量出血を引き起こしたり、網膜剥離や緑内障になったりします。
治療で大事なのは網膜症の進行を止めるためのレーザー治療と、黄斑浮腫を改善するための抗VEGF療法の2つです。大事なことは、眼内の大量出血が生じる前に、網膜剥離や緑内障になる前に、あるいは黄斑浮腫でひどくみえにくくなる前に、眼科で適切な治療をうける、ということです。
大量出血や網膜剝離でレーザー治療ができなくなると硝子体手術が必要になり、治療に高額の費用がかかりますし手術のリスクも高くなります。あるいは黄斑浮腫でみえにくいのを放置して浮腫がひどくなってしまうと高価な薬剤を使用する抗VEGF療法の注射回数がどんどん増えていきますし、抗VEGF療法をがんばったのに結局みえにくいままということが増えていきます。
無症状の初期の段階から定期的い眼底検査を受けていれば、治療のタイミングを逃しにくくなります。糖尿病なのに眼科にはまだ行ったことがない、または久しく眼科に行っていない、という方はぜひお近くの眼科を受診してみてください。

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