脳神経外科

脳神経外科で治療するホルモンの病気について

2022/01/04

脳神経外科で治療するホルモンの病気について

ホルモンと聞いて何を思い浮かべるでしょうか?焼肉のホルモン焼きを連想する方もおられるでしょう。ホルモン焼きとは言葉の意味が違いますが、体の元気のもとになる点では一緒かもしれません。体の健康維持のため色々な機能を調節する働きがあります。現在体の中には100種類以上のホルモンがあり、色々な器官から分泌されます。
 脳神経外科で扱うのは、脳下垂体という、脳の底の部分でちょうど鼻の奥にある1㎝に満たない程度の大きさの器官です。ここから様々なホルモンを分泌し、体の調子を維持していきます。ホルモンが足りなくても困りますが、多く出すぎても病気になってしまいます。
 下垂体にできる代表的な病気として、下垂体腺腫という、脳腫瘍の中では3番目に多い良性腫瘍があります。腫瘍がホルモンをたくさん分泌して病気になったり、腫瘍自体はホルモンを算出しませんが、正常の下垂体の働きを邪魔したり、下垂体のちょうど真上にある視神経を圧迫して視野障害を起こしたりします。発見されるきっかけは様々ですが、内科、眼科(視野障害)、産婦人科(不妊症・月経不順)など脳外科以外で見つかることもよくあります。症状があるものや、2㎝以上の大きさのものは手術をします。
 手術方法は、腫瘍がかなり大きなものでない限りは、頭にキズをつけずに、鼻から内視鏡と道具を入れて手術をします。私は内視鏡による経鼻下垂体腫瘍手術を専門にしており、当院でも昨年より導入いたしました。手術では細心の注意を払って周囲の血管や神経を傷つけないようにできるだけ腫瘍を摘出します。腫瘍の種類によっては、薬物治療や放射線治療を追加することもあります。手術した後は、ホルモンのバランスが不安定になることもありますが、当院では内分泌内科医の協力で、ホルモン調整も細やかに行うことができます。珍しい病気ではありますが、皆様の治療のお手伝いをできると幸いです。今後ともよろしくお願い申し上げます。

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