呼吸器外科

身体に「優しい」肺がんの手術

2021/08/01

身体に「優しい」肺がんの手術

肺がんはがんのなかで死亡者数の最も多いがんです(男性で1位、女性では大腸がんに次ぐ2位)。肺は右は3つ、左は2つに分かれていてそれぞれ葉をつけて上中葉、上下葉と呼びます。肺がんができた葉ごと切除するのが肺がんの基本的な手術です。

 20年程前までは、開胸手術(20cmくらいの皮膚切開、時に肋骨も切りました)で行われていましたが、近年は多くは胸腔鏡で行われる様になり、患者さんへの負担は軽くなりました。胸腔鏡システムや手技も年とともに改良され、当院では現在は約4cmのきず1つ、2cmのきず2つで行うことが多いです。2018年にロボット支援手術が保険適応となり当院でも導入しました。ロボットとは言っても私たちが操作して手術を行うものです。胸腔鏡に比べて手ブレが少なく、ロボットのアームに手首のような関節があり3D画像であることから、操作者はまるで胸腔内に入って手術を行っているような精緻な手術が可能となりました。胸腔鏡手術同様、患者さんは翌日から食事、歩行が可能となります。2021年6月末現在で23例のロボット支援の肺がん手術を実施しました。またロボット手術を縦隔の手術にも導入しました。もちろん現在でも開胸手術が適した患者さんもおられます。肺がんの大きさや部位、リンパ節転移の有無などにより手術方法が異なりますので、患者さんごとに最適な方法を提供しております。お気軽にご相談ください。

 患者さんに「優しい」手術のもう1つは「肺を取りすぎない」手術です。CTを撮る機会が増えたことで1cmもない小さなごく早期のがんが見つかることが多くなりました。「病変が小さくて術中見つからない」ため、肺葉切除を行うか(大きくなるまで)経過観察するかと外科医を悩ませてきたのですが、私が以前勤務しておりました京都大学医学部附属病院で開発された経気管支色素マーキング法により肺の表面にいくつか色をつけることで病変同定が可能になり必要最小限の肺切除で治療することが可能となりました。

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