整形外科

四十肩、五十肩ってなに?

2021/07/01

四十肩、五十肩ってなに?

整形外科外来で患者さんとお話していると「何年か前に四十肩になったことはあるんですよ」や「近所のお医者さんに五十肩って言われたんですよ」とお聞きすることがよくあります。そもそも四十肩、五十肩とは何のことでしょうか。

 五十肩は、江戸時代の書物・俚言集覧(りげんしゅうらん)にはじめてあらわれた言葉であり、そのなかに「長命病という」との一節もあります。実際「長い人生のうちには肩が痛くなることもあるさ」との意味合いでお話されることが多く、また「そのうち治るものさ」という意味も含んでいることが多いように思います。四十肩の由来ははっきりしませんが、五十肩から派生して生まれた言葉だと思われます。

 現在、四十肩・五十肩は医療機関では「肩関節周囲炎」と言われることが多いですが、これとて「肩関節周囲」ってどこのこと?という疑問が必出の、分かりにくい名称です。臨床的には、はっきりした原因もないのに(あえて挙げるなら加齢?)肩関節を包む袋(関節包)が炎症をきたして腫れてしまい、伸び縮みしなくなって動きの幅が狭くなる、痛みを生じる、という状態だと考えられます。典型的には「夜も寝られないほどつらい最も痛い時期」「それほど痛くはないけれど肩は上がらない時期」「痛くなくだんだん肩が上がってくる時期」の三段階に分けられ、たしかに自然と治ることが多いのですが何年もかかることがあります。

 治療の原則は病態を次の段階に進めることです。即ち、まず痛みを治める、痛みが治まったら動く範囲を広げる、というメリハリを持たせることです。肩が固まるのが怖いので夜も眠れないうちから痛みを我慢して(場合によっては泣きながら)動かしているケースがありますが、じっとしていても痛い状態なのに無理に動かせばますます炎症が激しくなってより強い痛みに襲われかねません。また、糖尿病や甲状腺疾患などが背景にある方は重症化しやすいこと、また単なる関節包の炎症ではなく腱板断裂など構造的な問題が隠れている場合など、的確な診断と治療指針が必要なこともあります。

 もちろん病態初期の軽い症状のうちにすべてを見通して治療計画を立てることは難しいわけですが、「なんか痛いな…」という状態から3週間たっても治らない、また特に悪化している、といった場合には整形外科を受診されることをお勧めします。

 数ある健康上の愁訴のうちでも肩周囲の愁訴は、男性で第2位、女性で第1位(厚生労働省2019年国民生活基礎調査)であり、それだけお困りの方が多いということです。私どももその認識に立って積極的にお役に立ちたいと考えておりますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

一覧ページへ戻る