産婦人科

創が1ヵ所だけの腹腔鏡手術

2021/06/01

創が1ヵ所だけの腹腔鏡手術

近頃は、我々婦人科だけでなく、外科や泌尿器科も含めた腹部の臓器を扱う科では腹腔鏡手術が主流となっています。私が医師になった2000年代初頭は、婦人科での腹腔鏡手術は全手術数の1/10もなかったような気がします。当時の腹腔鏡手術は難易度が低いとされる卵巣・卵管の病気だけに行われており、子宮の病気は開腹手術や腟式手術で行われていました。その後、医療機器の進歩と術者の手技習得により、子宮の病気にも腹腔鏡手術が行われるようになり、現在では腹腔鏡手術の方が開腹手術・腟式手術より多い施設がほとんどです。また、他の腹部の臓器を扱う科と同様、子宮にはロボット支援下手術(da Vinci手術)も行われています。

 腹腔鏡手術やロボット支援下手術は、通常カメラを入れる創と鉗子を入れる複数の創を用いる多孔式(通常3~5カ所の創)で行われます。昔から行われている開腹手術の創よりは相当小さいですが、数㎜から数㎝の創が複数残るため、若年女性などの創を気にされる方に対しては完璧な手術とは言えません。

 当科では臍の1つの創からカメラと複数の鉗子を入れる単孔式腹腔鏡手術を積極的に行っています。臍の創部はへこんだ臍の中に入り最終的に殆ど分からなくなるため、創を気にする患者さんに満足していただける手術であると考えております。

 単孔式腹腔鏡手術は、カメラと鉗子や鉗子同士がぶつかり合うことが多く、一般的に難易度が高いとされています。そのため積極的に行っている施設は少なく、行っているとしても卵巣・卵管の病気だけに行われていることが多いです。当科は子宮の病気にも行っており、現在全腹腔鏡手術の約80%が単孔式であり、京都府内の婦人科施設では一番多いです。まだ、リンパ節郭清を伴うような子宮がん手術に単孔式腹腔鏡手術を行っていませんが、今後導入予定です。

 

“創が1ヵ所だけの腹腔鏡手術”に関して相談されたい方は、月~木曜日の午前中に産婦人科外来を受診して頂ければ、説明致します。
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