心臓血管内科

足の動脈硬化症

2021/03/01

足の動脈硬化症

動脈硬化症とは動脈壁内にコレステロールや白血球が侵入することで徐々に動脈壁が肥厚していく病気です。進行すると動脈の内腔が狭くなり血流低下を来し、場合によっては血栓ができて動脈が閉塞します。動脈硬化症と聞いて真っ先に思いつくのは脳梗塞や心筋梗塞ではないでしょうか。しかし、全身の動脈に動脈硬化は起こります。その中でよく見かけるのが足の動脈硬化症(閉塞性動脈硬化症)です。足に十分な血液が供給されなくなることで、さまざまな症状が出現します。初期は足の冷えやしびれですが、受診理由で一番多いのが間歇性跛行(かんけつせいはこう)です。歩いていると片足もしくは両足のふくらはぎが痛くなり休むと治る症状のことです。足の筋肉の症状であるため、「歳だから仕方ないか」と病院に受診しない人も多いようです。足の動脈硬化症はそれ自体も重症化すれば足の潰瘍や壊疽から下肢切断に至る場合もありますが、全体の数%とわずかです。むしろ怖いのは全身の動脈硬化進行により脳梗塞や心筋梗塞を発症しやすいということです。
足の動脈硬化症の患者さんのうち5年間で3割の人が命を落とし、その多くが脳梗塞や心筋梗塞などの心血管疾患であったとの報告もあります。つまり足の動脈硬化を放っておくと癌よりも予後が悪いことになります。そのため、足の動脈硬化が見つかれば適切な治療を開始すると同時に全身の動脈を調べることが重要です。

 足の動脈硬化を簡便に発見できるのが足首・上腕血圧比(ABI)検査です。両手・両足の血圧を同時に測るだけの検査ですが、足の血流低下がないかチェックすることができます。同時に血管の硬さ(血管年齢)もチェックできます。気になる足の症状があれば一度主治医に相談し、ABI検査を受けてみてください。

一覧ページへ戻る