麻酔科

麻酔科の仕事について

2020/02/01

麻酔科の仕事について

麻酔科という科があるということは徐々に知られつつありますが、麻酔科医が行っている仕事の内容を詳しくご存知の方は、そう多くはないと思います。もし麻酔がなかったら、手術の時に身体をメスで切られると痛いですし、不安や恐怖も感じると思います。身体はそのような状況に置かれると過剰に反応し、血圧や呼吸が不安定になり時には生命を脅かすことさえあるかもしれません。

 全身麻酔での手術の間、患者さんは眠っておられますが、麻酔科医は患者さんの枕元で手術の進行を把握しつつ、刻々と変化する患者さんの状態に合わせて様々な処置を行っています。麻酔科医が手術中に行っていることは、手術による痛みを除き、あるいは意識をなくすことで手術そのものが円滑に進行するように、そして手術という刺激に対する身体の反応を抑え、手術中の患者さんの負担が少なくなるように、数種類の全身麻酔薬の量を細かく調節しています。それと同時に、患者さんの血圧や心拍数、呼吸状態、体温などを絶え間なくチェックし、異変があれば即座に対応できるように備えています。仮に手術という刺激を身体にとっての「攻撃」と考えるならば、麻酔はその刺激から身体を「防御」する役割を果たしていると言えます。攻撃に見合った防御、つまり手術に適した麻酔を行うことは患者さんの術後の回復にもつながります。

 患者さんの身体を防御するためには入念な準備が必要です。そのために麻酔科医は術前診察を行ないます。問診や診察だけでなく、検査から得られた情報をくまなく収集することで、一人ひとりの患者さんに適した麻酔計画を立てていきます。手術が終了すれば麻酔科医の仕事は終わりというわけではなく、手術後には病棟で患者さんの状態や麻酔による副作用の有無を確認し、患者さんの術後の回復をサポートしています。

 患者さんが手術をお受けになる際に、安全に、快適に、そして安心して治療を終えられるように、私たち京都桂病院麻酔科スタッフが患者さんの一番近くで引き続き努力してまいりたいと思います。

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