心臓血管内科

慢性心不全の治療について

2019/10/01

慢性心不全の治療について

心臓の病気には、例えば「心筋梗塞・狭心症」、「心臓弁膜症」、「心房細動」などの疾患がありますが、「心不全」はこれらの病気(疾患)の結果として、ポンプとしての心臓機能が失われた状態を指します。「心不全」には「急性心不全」と「慢性心不全」があり、「急性心不全」はさまざまな心臓疾患によって分単位、時間単位でポンプ機能が急速に低下し、生死に関わる状態となります。このため救急医療として一刻を争う治療、対応が必要になります。

 一方、現在の日本において急増しているのは、心臓のポンプ機能が徐々に失われてゆくことにより、日常生活に大きな支障をきたす「慢性心不全」です。

 慢性心不全の方は一見すると健常な方と変わらないように見えますが、血液循環ポンプとしての心臓の力が大幅に失われているため、日常の生活動作を行う上でも苦しさが出現し、生活を送ることが困難となってゆきます。

 このような慢性心不全の治療には、薬による治療はもちろんのこと、カテーテル治療、ペースメーカ・植え込み型除細動器などのデバイス治療、外科的治療、リハビリテーション、在宅酸素・陽圧換気療法、栄養サポート、心理面のサポートなど多岐にわたる医療・社会資源(リソース)の有効活用による“総力戦”での対応が必要になります。

 当センターでは各疾患のエキスパートが、最適な治療を提供すべく日夜対応に当たっていますが、慢性心不全においては、各疾患に専門特化した治療だけではなく、総合的な観点から対応を行わなければ十分な治療とはなりません。

 現在心臓血管センターでは、医師、慢性心不全認定看護師、薬剤師、理学療法士、栄養士といった様々な職種による心不全の包括的なケアを目指す「慢性心不全チーム」を5年前より立ち上げ、入院中、外来通院中の患者さんの治療にあたっています。職種の垣根を超えたチーム医療で、患者さんにとっての個別最適な治療・ケアを追求し、患者さんが日常を取り戻し、安定した社会生活を送れるように努力してゆきます。

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