皮膚科

夏の皮膚トラブル

2019/08/01

夏の皮膚トラブル

夏は気温や湿度が高くなり汗をかく季節です。汗だく、汗くさいなど汗にあまりいいイメージがないかもしれません。

 汗の腺には、エクリン腺とアポクリン腺の2種類あります。エクリン腺は一部(口唇など)を除いて全身に約300万個分布しており、温熱刺激により発汗し体温調節に関与しています。手に汗握るというような、精神的緊張によっても汗をかきます。ほとんどの哺乳類は汗をかきませんが、ヒトは汗をかくことができるので長時間走って移動することができます。犬は汗の腺が足の裏にだけ分布しているので、ハアハアと呼吸することで体温を調節しています。一方アポクリン腺はわきや耳、外陰部などに分布しています。汗自体は無臭ですが、皮膚の常在菌によって脂質などが分解されてにおいをもつようになります。

 夏は汗の関係した皮膚疾患がよくみられます。一番多いのは“あせも”です。“あせも”は汗疹といいます。汗腺がつまって発汗が妨げられることで起こる皮膚疾患です。汗腺が多い首や汗が乾きにくいひじやひざ、おむつなどでおおわれている部位などにできやすいです。

 汗をかくと皮膚のトラブルが増悪する、かゆくなることがあります。では、汗はかかないようにしたほうが良いのでしょうか。以前はアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患は汗をかくと悪くなると考えられ、なるべく汗をかかないように指導していることもありました。しかし、汗をかかないようにしていると体が汗をかけなくなってきます。汗をかかなくなると体温調節ができず体温は上昇し、皮膚の乾燥が必発します。乾燥はアトピー性皮膚炎を悪化させる要因の一つです。

 汗をかかないようにするのではなく、汗をかいたらシャワーを浴びたり濡れタオルで拭いたりする。すぐにシャワーを浴びられない場合には、手を洗うときのついでに汗のたまりやすいひじのところまで洗うとよいでしょう。

 特に京都の夏は暑いですが、しっかり汗をかいて乗り切りましょう。水分摂取はこまめにしてください。

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