小児科

小児の夏の感染症について

2019/07/01

小児の夏の感染症について

7月、梅雨が明ければ夏本番です。夏のこどもというと元気なイメージですが、

この季節に多くみられる病気もあります。夏に流行する感染症をご紹介しましょう。

 

①夏かぜ

 暑い時期に流行するウイルス感染症のことを一般に夏かぜと呼びます。原因となるウイルスは複数あり、一つの病気をさすわけではありません。たいてい高熱が出ますが咳や鼻汁は強くないことが多いです。夏かぜの一部は皮膚や粘膜の症状から、咽頭結膜熱(「プール熱」)、ヘルパンギーナ、手足口病と診断されます。咽頭結膜熱はのどが赤く目の充血や目やにがみられ、のどのアデノウイルス検査が陽性になります。ヘルパンギーナはのどに、手足口病は口の中と手のひら・足の裏(時におしりなどにも)に水疱ができ、どちらも痛みで食欲が落ちます。

 夏かぜはウイルス感染ですので抗生剤は効きません。脱水や栄養不足に注意して自然に治るのを待ちましょう。水やお茶を飲んでものどを痛がるときにはミルクを試してください。まったく食べられないときには水分だけでなく糖分(ブドウ糖)や塩分の補給も忘れずに。熱中症予防を参考にしてください。ヘルパンギーナと手足口病は全身状態が良ければ(発熱がなく食事がとれていれば)登園できますが、咽頭結膜熱は解熱後48時間まで登園できません。

 

 

②伝染性膿痂疹(とびひ)

 子どもに多い皮膚の細菌感染症です。湿疹や虫刺されなどで皮膚を掻いてできた小さな傷に、黄色ブドウ球菌や溶連菌が感染して起こります。赤い発疹ではじまって、膿を持った水疱(膿疱)になり、それが破れてかさぶたになります。これらが混在して広がっていきます。半日から一日で急激に広がることもあります。治療には抗生剤が有効で、数が少なければ塗り薬、数が多かったり発熱があれば飲み薬も必要になります。掻かないようにかゆみ止めの飲み薬を使うこともあります。直接の接触や衣類・タオルを介して感染するので、ほかの子どもと接する場合はガーゼなどで覆って病変部を露出させない、タオルなどを共用しない、といったことに注意が必要です。同じシーズン中は症状を繰り返しやすいので、かさぶたがなくなってきれいな皮膚が出てくるまでしっかり治療してください。

 

 このほか、以前は秋から冬にかけて流行していたRSウイルス感染症が、近年は8月ごろから流行するようになってきています。乳児など小さなお子さんは注意してくださいね。

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