心臓血管内科

心房細動に対するカテーテルアブレーション

2018/11/01

心房細動に対するカテーテルアブレーション

心房細動という不整脈をご存知ですか?心房細動は治療を必要とする不整脈であり、70歳以上の方に発生しやすい病気です。心房細動が発生すると激しく脈が乱れるため、胸の奥でゴロゴロとするような何とも言えない不快感や、鼓動が早くなり胸苦しさが出現します。そして心臓が震えるような動きをすることによって心臓内で血栓と呼ばれる血液の塊を作りやすくなります。この血栓がひとたび血流にのって出てゆくと、その先の動脈で目詰まりを起こし脳梗塞などの重篤な病気を引きお起します。そのリスクは健常人の約5倍以上とされます。そのため心房細動の患者さんでは、血栓を予防するためのお薬(抗凝固薬)の内服が非常に重要です。それ以外にも心房細動は脳梗塞以外にも死亡率の増加、心不全の悪化、入院回数の増加など様々な問題を引き起こします。

 そのような心房細動を根本的に治療する方法として、カテーテルアブレーション(経皮的心筋焼灼術)という治療法が全世界的に急速な広がりを見せています。治療に際しては、カテーテルと呼ばれる治療用の細い管を血管内に通し、それを心臓内で操作し、心房細動を引き起こす心筋細胞の異常興奮発生部位である左心房内の肺静脈接合部を心臓の内側から焼灼治療します。近年はクライオバルーンと呼ばれる特殊な治療用バルーンを使用して心房細動の発生源である肺静脈接合部を冷凍焼灼する方法が開発され、これまでリスクが高いとされていた様々な併存疾患をお持ちの患者様や80歳以上の患者様でも安全に治療が可能となってきています。治療時間は2時間弱で、鎮痛鎮静剤による深鎮静状態で行うため、ほとんど痛みを感じることなく治療を受けられます。当センターでは現在、年間250件以上のアブレーション治療を施行し、より安全な治療法についての研究も行い学会などで発信しております。心房細動は根治を目指せる時代となってはいますが、治療時期が遅くなると効果が十分に得られないため、早期発見、治療が非常に大切です。脈の乱れなどが気になる方は、かかりつけの先生にご相談の上、当センター不整脈外来(木曜日午前)にてご相談ください。

一覧ページへ戻る