腫瘍内科

がんゲノム医療への対応

2018/10/01

がんゲノム医療への対応

がんゲノム医療とは、がんの原因となる多くの遺伝子の異常を調べて、効果の見込める薬や副作用の少ない薬を選択するなど、発生臓器別ではなく個々のがんの特徴にあった最適な治療法を探る次世代のがん医療です。京都桂病院は、がんゲノム医療中核拠点病院(京都大学医学部附属病院)と連携して、がん個別化医療を行うがんゲノム医療連携病院に2018年3月に認定されました。また、9月より先進医療の枠組みで診療を行う京都府下最初の連携病院として診療を開始しました。この先進医療では、国立がん研究センターが開発した114種類のがん関連遺伝子を調べることができる試薬「NCCオンコパネル」を用いて、標準治療に不応となり現時点では治療法が見つかっていない患者さんや希少がん、原発不明がんの患者さん(血液がんを除く)を対象に、新たな治療の可能性を探し出すための情報を中核病院と他の連携病院と協力して提供しています。ただし我が国のがんゲノム医療はまだ開発の途上にあり、遺伝子検査を行っても治療薬が見つかる患者さんは2~3割程度にとどまっています。たとえ治療薬が見つかっても適応外や未承認の治療薬であることが多く、その場合は自費診療になってしまうため、当院では治療が行うことができません。また、治験や先進医療などで治療が受けられる場合もごく一部に限られ、それらの治療を行っている施設(大学病院やがんセンターなど)に紹介して治療を受けていただくことになります。この点も、十分ご理解いただく必要があります。

 厚生労働省は、ゲノム医療の診療データを全国から集めて一元管理し、集積したデータを人工知能(AI)で解析することで、がんの発生や進展のメカニズムを明らかにし、新たな薬や診断法の研究開発につなげることを期待しています。このように、「がんゲノム医療は、これから多くのがん患者さんの協力を得て新しい治療法を見つけ出す」という研究的な側面を持っています。当院も、がんゲノム医療の発展に貢献し、一日も早くそれぞれの患者さんに最適な治療をお届けできるよう尽力してゆく所存です。

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