病理診断科をご存知ですか?
病理診断科をご存知ですか?
当院には多数の診療科があり、様々な検査や治療が行われています。診療上の必要から患者さんの細胞や組織を採取、切除することがあります。また、手術で臓器が切除されることもあります。病理診断科は、これらを主に顕微鏡で観察し、病気の正体・正しい診断にせまる診療科です。
なぜ顕微鏡なのでしょうか。ヒトの体は沢山の細胞から成り立っています。調子の悪い臓器には、調子の悪い細胞がいて、それらの細胞や組織は、通常とは異なる特徴的なカタチ(形態といいます)を示すことがあります。細胞や組織の形態評価には顕微鏡が必要なのです。
病理診断科には病理医と臨床検査技師がいます。病理医は、組織・細胞標本をみて、病変の性質(腫瘍性、炎症性…)、腫瘍ならば良性か悪性か、病変が取り切れたか、治療がどの程度効いたのか、等を判断し、病理組織診断・細胞診断として主治医に伝えます。主治医は他の検査所見と組織・細胞診断を総合して、その後の治療方針を決定します。臨床検査技師は標本の作製、後述の遺伝子検査などを実施します。標本の出来が診断に影響を与えるため、自動化・機械化の進む現代においても職人的要素の強い業務です。また、細胞検査士の資格を持つ技師は、細胞検査も行います。
当科では病理検体を用いて、特定のタンパク質の検索、遺伝子検査、コンパニオン診断と呼ばれる検査も行います。院内で実施できるものは実施し、迅速性を追求しています。現在これらは、一部の疾患で治療方針の決定や治療薬の選択に必須の検査になっています。この傾向は今後も続き、腫瘍性疾患の大部分に精密な遺伝子検査を併用する時代が、すぐそこまで来ていると思います(オーダーメイド医療)。
病理診断科は業務(病理診断・細胞診断・病理解剖)の性質上、外来や入院病棟で患者さんの皆様と直接お話しする機会があまりありません。主治医と協力・連携し、正確な診断を通じて皆様の健康増進のお役に立てればと思います。