心臓血管内科

冬場は浴室内での心血管事故に注意

2018/01/01

冬場は浴室内での心血管事故に注意!

 新年を迎え、寒さも本番となり、熱いお風呂で温まるのがなんとも心地よい時期になってきました。しかし、気をつけなければならないことがあります。それは浴室内での脳卒中や心臓発作によるトラブルです。浴室内事故の8割は11月から3月の冬場に起きているというデータも出ています。当院でも浴室内での心肺停止で搬送されてくる患者さんが冬場に増加しています。その原因は身の回りの温度の急激な変化によるものです。

 最近、テレビ等でヒートショックという言葉をよく耳にします。これは急激な温度変化によって身体に起きる変化のことであり、家庭内でその変化が起きやすいのがお風呂に入る時です。暖かい部屋から寒い脱衣所に移動し、裸で浴室に入る時、急な寒冷刺激に曝露します。その際、血管が収縮し血圧が急に上昇します。血圧が上昇すると脳卒中や狭心症、心筋梗塞を発症させる危険があります。逆に温かい浴槽に浸かると今度は温熱刺激に曝露します。そのときは血管が拡張し血圧が低下します。そのため、浴槽から立ち上がるときに脳貧血を起こし、気を失って倒れる危険があります。倒れた際に浴槽の縁に頭や身体をぶつけて大けがをしたり、気を失ってお湯に顔が浸かってしまうとそのまま溺水してしまうこともあります。しかも浴室の問題点は家族の人に発見されにくいところであり、お風呂から出てくるのが遅いので家族の人が見に行くと、倒れていたと発見されるケースがほとんどです。そのほかでは、夜間トイレに行く場合も温かい布団の中から寒いトイレに移動するときに急な寒冷刺激に曝露されるので、血圧の急な上昇を引き起こします。

 これらの事故を予防するためには家の中を均一に暖かく保つことです。お風呂に入る前に脱衣所を暖房で温め、浴槽の蓋を開け、シャワーを出して浴室内も温めておくことで予防できます。また、浴槽から立ち上がる際も手すりを持ってゆっくり立ち上がるなどの注意が必要です。また夜間トイレに行かれる際もパジャマの上にジャンパーを羽織るだけでも予防になります。

 

これからが寒さの本番です。

家の中でも十分な防寒対策を心がけましょう。

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