救急科

不安定型頻拍のカルディオバージョン

オミクロン変異株の影響でCOVID19

メチャクチャ流行し出して、

重症が多くなくとも、

感染者、濃厚接触者が爆発的に増加し、

子供も学校を休むことが今回は非常に多く、

医療に関わらず多くの職場で欠勤が目立ち、

経済の流れが滞っています。

しかも、医療現場ではコロナに限らず、

冬場に増える疾病の救急搬送もかなり増え、

後方の受け入れ先が見つからず、

多くの救急病院の満床状態が常態化し、

京都市に限らず全国各地で救急搬送者の

受け入れ先が見つからないことが頻繁に起こっています。

誰もが満足できる解決策は全く見出せませんが、

しんどい時期を皆で乗り越えるしかない、と

救急現場で日々感じているTです。

 

金曜日夕方の研修医勉強会で、

今回は不安定型頻拍に対する初期対応について

シミュレーションを行いました。

 

どこの施設の研修医でも心停止時の

心室細動(VF)や脈無し心室頻拍(pulseless VT)

対する除細動は、二次救命処置で学びますが、

心停止に至っていない不安定型頻拍の患者に対する

カルディオバージョンは一連の初期対応の

流れで学ぶケースは多くないと思います。

 

高齢患者の急性腸炎による急激な脱水に伴う

頻脈性の心房細動(AFIB)の症例でまずシミュレーション。

幅が狭いQRS(narrow QRS)の頻拍の患者の場合は、

まず他にショックの原因が無いか検索し、

その原因に対して蘇生が必要になります。

循環血液減少性ショックと判断し、まずは急速補液。

血管内容量が戻ってきても頻脈が改善しなければ

その段階で同期した電気ショック、

つまりカルディオバージョンを行います。

幅が広いQRS(wide QRS)の場合は、

原因検索しつつ早急に電気ショックをまずかける方が

望ましい場合が多いです。ダラダラしているとVFの

心停止に移行してしまう可能性があるからです。

 

心電図波形に同期して電気ショックをかけないと、

Shock on Tという状態になり

VFやVTに移行してしまう恐れがあるため、

心停止に至っていない不安定型頻拍の場合は、

同期しての電気ショックが必要です。

波形によって電気ショックの最初の強さが変わります。

上室性頻拍(PSVT)や心房粗動(AFL)の場合は、50Jから。

ただし、AFLの場合は50Jで改善しないことも多く、

臨床上100Jから開始することもしばしばあります。

 

脈あり心室頻拍(VT)やAFIBの場合は、100Jから。

 

それぞれ改善しない場合は、50100150200Jと

上げていって電気ショックをかけます。

 

他の波形として覚えておくべきなのは、

Δ波が出るWPW症候群にAFIBが加わった

あたかもVTのように見える偽性VT(pseudo VT)と言われる波形と

QT延長から多形性心室頻拍になるTorsade des pointes(TdP)

この二つはQRSに同期しにくいので、非同期の除細動を行います。

 

今回のシミュレーションでは一連の流れで

カルディオバージョンの位置づけを理解してもらって、

身体もちゃんと動かせるように学んでもらいました。

この時期になると、1年目、2年目の研修医が

すさまじく成長していることを体感できます。

シミュレーションも殆ど戸惑うことなく

出来るようになり頼もしい限りです!

 

 

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