救急科

気道緊急の外科的気道確保シミュレーション

気付けば早いもので今年も残り1週間となりました。
最近急激に冷え込み、
独居の二次性低体温で救急搬送される方が多くなりました。
敗血症、甲状腺機能亢進症、栄養失調による代謝低下等々。
真夏、真冬は高齢者の生活環境を
色々と考えさせられる季節です。
超高齢社会の医療は医療だけで片付けられません。
周辺の体制を含めて課題は山積みです。
ピンチを新たな業務のチャンスと
前向きに捉えて攻めの姿勢を変えずに頑張ります。

今年最後の研修医学習会は、
気道緊急の外科的気道確保のシミュレーションでした。

外傷に限らず、むしろ内因性の方が機会が多いかもしれない
いつ来るか分からない気道閉塞かそれに近い狭窄病態。
急性喉頭蓋炎、頸部術後、アナフィラキシー等々。

気道確保さえできれば救命できますが、
その気道確保が通常の経口気管挿管できない
病態の場合に、超焦ります。

その際外科的気道確保を
する場面に出会ってしまうかもしれません。

特に時間外の場面だと、
自分が対応しないと数分~10分の間に
心停止に至ってしまう可能性があります。

ということで心停止の蘇生法と同様に
是非覚えておいて欲しい手技として
輪状甲状靭帯穿刺、切開を学んでもらいました。

輪状甲状靭帯がどこかを
皆の首で確認してもらい、
人形で実際に手技をシミュレーションしてもらいました。
まずは輪状甲状靭帯穿刺。
右利きの人は左側に立って行います。

14Gか16Gのサーフロー針で穿刺し、
2.5mlのシリンジ+内径7か7.5mmの
挿管チューブのスリップジョイントを
うまく応用してバッグバルブマスク換気を行います。
外傷患者で無ければ10~20分程度の
時間稼ぎが出来ることも多いので、
その間に救急科専門医や耳鼻科・呼吸器外科専門医に
その後の切開やファイバー下挿管を
バトンタッチできる選択肢が増えます。

もちろん輪状甲状靭帯切開まで出来る方が
確実で安心して換気が出来ます。
外傷初期診療コースのJATECでは
輪状甲状靭帯穿刺はコース内で教えなくなりました。
切開をしっかり出来た方が良いから、
その手技をしっかり学んでほしい、という意図です。

ちゃんと研修医にも
その危機的状況をイメージしてもらいながら
輪状甲状靭帯切開を練習してもらいました。
切開は右利きの人は右側に立って行います。

気道緊急の現場は慣れた人がいないと
間違いなく混乱します。
そこで外科的気道確保の技能を持っているか否かで
大きく生命予後が変わります。
all or noneくらいの極端さが気道緊急です。
毎年1回は外科的気道確保のスキルを学んでもらう
機会を設けて、いざ、という時に
対応できるようにしておいてもらいたいと思います。


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