体幹部外傷学習会
雪も降りだし寒波に備えて
スタッドレスタイヤ交換の
タイミングを逸しかけたTです。
京都は盆地なので、北や西の山付近は
結構道路が凍るので、
地味に冬のスタッドレスタイヤは必須です。
スリップ外傷に備える季節となりました。
毎月1回の救急学習会。
外傷シリーズで今回のテーマは
体幹部外傷でした。
胸部・腹部・骨盤外傷について講義。
胸部はPrimary Surveyで学ぶべき
TAFXXX
T:Cardiac Tamponade 心タンポナーデ C
A:Airway Obstruction 気道閉塞 AB
F:Flail Chest フレイルチェスト B
X:Tension Pneumothorax 緊張性気胸 BC
X:Open Pneumothorax 開放性気胸 BC
X:Massive Hemothorax 大量血胸 BC
Secondary Surveyで学ぶべき
PATBEDXX
P:Pulmonary contusion 肺挫傷
A:Aortic injury 大動脈損傷
T:Tracheobronchial injury 気管気管支損傷
B:Blunt cardiac injury 鈍的心損傷
⇒ECG異常(ST、不整脈)、トロポニン上昇
E:Esophageal injury 食道損傷
D:Diaphragmatic injury 横隔膜損傷
X:pneumothoraX 気胸
X:hemothoraX 血胸
腹部外傷は、出血性ショックと腹膜炎の制御が重要。
JATECのPrimary Surveyの
Non-responder検索の弱点部位である
高位後腹膜出血の存在について
(腎損傷、腎茎部損傷、下大静脈、大動脈損傷が主に該当する)。
外傷外科医としては
かなりテンションが上がる部位です。
次いで骨盤骨折。
不安定型骨盤について。
骨折骨盤輪前方部及び後方部の
少なくとも2カ所に骨折転位や脱臼があり、
輪状構造が破綻したものを指します。
かなり不安定型のタイプとして
側方圧迫型、前後圧迫型、垂直回旋型の3つが
代表的なものとしてあり、
極度の側方圧迫型以外は、
サムスリングやシーツラッピングの適応。
直腸診の適応として、
・骨盤骨折
・泌尿・生殖器・会陰部近傍の損傷(会陰部血腫)
・脊椎・脊髄損傷を疑う場合。
直腸診の観察所見として、
・直腸壁の連続性
・前立腺の位置(高位浮動の有無)
・恥骨骨折の感触(結合の離解の有無)
・肛門括約筋緊張
・直腸診後の血液の付着。
最期に体幹部損傷の外傷外科医の魅せ処の
Damage Control Surgery(DCS)とREBOAについて。
DCSは大量出血によって
血圧が安定しない救命目的の外科的止血術を含めた外傷戦略。
⇒主に肝損傷に対して行うことが多い
・出血と腹腔内汚染のコントロールのための 初回手術
・生理学的異常補正のためのICUにおける外科的集中治療
・根本治療のための予定再手術
DCSの判断基準をJATEC第6版では
手術開始時に下記3項目のうち
1~2項目の出現があればDCS方針としている。
①中心部体温<35℃
②pH<7.2,またはBE<-15mmol/L(55歳以上 なら<-6mmol/L)、
または乳酸>5mmol/L
③PT,APTTが50%以上の延長、
または2~3Lの出血、10単位以上の輸血
盛り沢山の内容をアツく
べらべらとお話させて頂きました。
来年度の新棟ではDCSに耐え得るハードが完成します。
それに備えて人材を含めたソフトの充実化に
残り1年かけてしっかり注力していきます。
体幹部外傷の話をするのはやはりテンションが上がります!
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