救急科

ショックの初期対応、トラネキサム酸の立ち位置

【投稿日】2021年7月14日(水)

ジワジワと第5波と言われそうな波が
到来して来ています。
ワクチンが普及せぬまま、
第5波に突入しながらの
パラオリ開催。
ワクチン接種が普及した上での、
開催がベストですが、
果たして8月以降どうなるのやら…

多職種向けの重症病態学習会。
今回はショックの初期対応について。

まずはショックの分類。
・血液分布異常性ショック
・心外閉塞・拘束性ショック
・循環血漿量減少性ショック
・心原性ショック
末梢循環を確認して、Warm shockなら
血液分布異常性ショックと判断し、
迷わず輸液負荷。

Cold shockなら
RUSh(Rapid Ultrasound in Shock)エコーで
他のショックの分類、原因検索。
心外閉塞拘束性ショックは、
輸液負荷しつつ、サッさと原因解除。

心原性なら輸液は安易に負荷せずに、
循環器科と早期に相談して、
専門的介入の検討を。

出血性ショックに関して、
初期輸液療法で血圧の反応を見て、
血圧がほぼ反応しないNon-responderならば、
輸血・止血・気管挿管の検討。
大量輸血療法のスイッチを入れて、
緊急異型輸血の準備。

出血源を検索し、止血の準備。

今回は最近トピックスの
大量出血におけるトラネキサム酸の
立ち位置についても話題に出しました。
トラネキサム酸は日本で開発された薬。

代表的なRCT報告が、
外傷の大量出血に対するCRASH-2 trial2010から有効性が謳われ、
急性外傷性脳損傷に対してCRASH-3 trial2019
産後出血に対してWOMAN trial2017
急性胃腸出血に対してHALT-IT trial2020
分娩後出血予防に対してTRAAP trial2018
帝王切開術後出血予防に対してTRAAP2 trial2021
メジャー雑誌で多く発表されています。
安価な割に有効性が高そうなので、
そういう薬が見直されるのはとてもいいことです。

有効だったり、無効だったり。
色々なRCTの結果から、
病態によって多少違えど、
発症時間が分かっていて、発症・受傷後3時間以内に
投与開始したら、有効性があるのではないか、
という印象です。
タイミングと出血量、病態によりけりです。
語り出したらキリが無くなりそうなので、
今回は論文紹介に留めておきます。
興味ある人は全てのtrialに
原著アクセス出来るようにしているので
確認してみて下さい。

最後に腹部大動脈瘤破裂による
Non-responderの症例シミュレーションを見せて、
実際にどのように動くかを
イメージしてもらいました。

ERでの重症初期対応は
看護師・医師のチームワーク、
確実なコミュニケーションが
非常に重要です。

座学、デモ、シミュレーション、実践。
心停止のBLS・ALSだけでなく、
どの重症病態でも同じようにやれば
チーム全体でしっかり身に付いて
レベルアップしていきます!

 

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