生命予後から神経学的予後をより意識した蘇生ガイドライン2020
ホームページリニューアルされてから
ブログの更新がなかなか慣れません…
ですが、めげずに頑張っていきます!
パラオリが終え、緊急事態宣言も延長され、
菅首相の総裁選辞退となり、
9月は今年の苦難の大きな節目になるでしょうか。
そして本日は9月9日「救急の日」。
毎月1回行っている多職種向け学習会。
今回は「蘇生ガイドライン2020」について
講義を行いました。
日本蘇生協議会から
5年ごとに更新されるガイドラインです。
コロナ禍の影響で、
議論、編集等の時間がかかってしまい、
今回は書籍としての発刊は
ガイドライン2020(G2020)という呼び名ではありますが、
今年の6月となりました。
今回の講義では、
一次救命処置(BLS)と
二次救命処置(ALS)に関して
強調したい点、G2015からの主な変更点について
話しました。
G2015から強調される点として、
以前の心肺停止(CPA;Cardiopulmonary Arrest)という
表現が使用されなくなり、
心停止(CA;Cardiac Arrest)という表現に切り替わり、
院外心停止:Out-of-Hospital Cardiac Arrest OHCA
院内心停止:In-Hospital Cardiac Arrest IHCA
という使い方になります。
その理由として心停止しても、
異常な呼吸が残存している可能性があり、
呼吸があるという理由で、
蘇生行為がためらわれてしまうこともあったからです。
とは言っても蘇生に関しては
心肺蘇生法(CPR;Cardiopulmonary Resuscitation)のままですが。
G2020からは、119番通報前に、
バイスタンダーが1人だけで携帯電話を持っている場合は、
119番通報し、携帯電話のスピーカー又は
他のハンズフリーオプションを作動させて
ただちにCPRを開始し、必要に応じて
通信司令員の口頭指導を受けることを推奨する、
という文言が追加されました。
胸骨圧迫に関しては変わらず、
下記の通りです。
他に表現方法の違いとして、
除細動器・AEDで使用するパッドのうち
「小児用」が「未就学児用」という表現になりました。
本来は6~8歳未満に用いるものなのに、
小児用となっていると15歳まで小児と
勘違いすることもあったからです。
ALSでは、
それぞれの国・地域の文化によって、
高度な気道確保は
施行者の気道確保の成功率で
声門上器具か気管挿管のいずれかとし、
無理に気管挿管にこだわらないように、
という提案になりました。
Tが関わった分野では、
薬物投与経路がG2015までは
静脈路/骨髄路という表現が
いくつかのエビデンスにより
静脈路を第一選択という表現に切り替わりました。
とは言っても本邦の臨床現場での
対応方法には著変はありません。
G2015以上に生命予後だけでなく、
神経学的予後を意識した
蘇生後評価のところがG2020では
意識されていることも特徴的でした。
定量的瞳孔測定についてや、
CTの灰白質‐白質濃度比(GWR)だけでなく、
MRIのDWI、ADC等の画像評価も提案されています。
ある程度生命予後に関わる部分は
大きく変化があることは段々無くなってきて、
後はどれだけ自己心拍再開した人たちを
社会復帰に繋げるか、
を目標に掲げるような意図が伝わってきます。
後はコロナ禍での
BLS、院内BLS・ALSの対応について
話しました。
傷病者の蘇生と同等かそれ以上に施行者の感染対策を
強く意識しています。
最早院外で心停止になっている人は
常にCOVID19の可能性を考えねばならない時代です。
日本蘇生協議会から下記の資料を是非参考にして下さい。
めまぐるしい情報過多の時代に
適切な情報を抽出し、
常にアップデートすることは現代医療でとても重要です。
特にコロナ禍ではその重要性を
改めて感じています。
本ブログが少しでもその参考になれば幸いです!
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