救急科

熱中症,アナフィラキシーの講義by Y

【投稿日】2021年6月21日(月)

気付けば夏至。
夜も大分長くなりました。
これから暑くなるのに夜が短くなるのが、
少し切ないTです。
熱中症の高齢者がパラパラ救急搬送されてきました。
皆様、思ったより外は暑いです。
しっかり予防して夏を乗り切って下さい。

ということで、
救急科Y先生に毎月1回の
多職種向け学習会で
熱中症とアナフィラキシーに関して
講義をしてもらいました。

まずは熱中症について。

熱中症は重症だと「死ぬ病気」であることを強調してもらい、
定義、診断、暑熱環境について、
古典的、労作性の熱中症の違いについて、
1度、2度、3度の分類による症状の違いについて、
必要な検査、治療法、経口摂取法、冷却方法について、
説明してもらいました。
熱中症はゴミ箱診断!というのも
なかなかいい表現でした。
敗血症、意識障害を来す病態など、
暑熱環境においても熱中症が追加で鑑別疾患になるだけで、
他の疾患をきっちり除外することが大事です。
特に高齢者や基礎疾患を多く持つ患者は、
安易に熱中症のみの診断を付けないことが大事です。

日本救急医学会の熱中症診療ガイドライン2015や、
環境省熱中症予防サイトが有用な情報となります。
是非参考にしてみて下さい。
また、関連学会から
新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言
というものも出ています。
やや回りくどい内容ですが、一読はしておいて損は無いかもです。

 

次いでアナフィラキシーについて講義してもらいました。

アナフィラキシーは、急速に発症し、
死に至る可能性のある重篤なアレルギーまたは過敏反応と
定義されています。

蛇足で最近の話題としてはコロナワクチンの
アナフィラキシーですが、
モデルナやファイザー・ビオンテックのワクチンは、
100万人当たり3~5人の確率と言われており、
初期対応をしっかりしたら死にません。
これだけの低確率ですので、
他の副反応も総合して考慮しても
COVID19になるより
遥かに低く軽い副反応ばかりです。
是非ワクチン接種を悩んでいる方、
Tは積極的に接種することを強く奨めます。

アナフィラキシーは初期対応を
いつも通りのPrimary Surveyを遵守して、
酸素投与や輸液負荷を並行してやりつつ、
診断基準を把握しつつ、
診断したらアドレナリン筋注を
大腿外側に0.01mg×体重kgを行い、
効果が無ければ5~15分毎に反復投与します。

他に補助療法やβ遮断薬を使用時の
グルカゴンの投与方法について、
再発予防SAFEについて、
も話してくれました。

アナフィラキシーの文献は最近ですと、
イギリス発信のResuscitationに5月に発行された、
Evidence update for the treatment of anaphylaxis
アメリカ発信のJACIに昨年4月に発行された
Anaphylaxis
—a 2020 practice parameter update, systematic review,
and Grading of Recommendations, Assessment, Development
and Evaluation (GRADE) analysis
世界アレルギー機関(WAO)から昨年10月に発行された
World Allergy Organization Anaphylaxis Guidance 2020
らへんを最新の知識として興味のある方は参考にして下さい。

研修医や多職種向けに
Y先生には講義を度々してもらっていますが、
メキメキと講義上手になっています。
コンパクトにしっかり伝えないといけないことを
分かりやすくアウトプットしてくれます。
スライドのデザインや配置も上手。

Tも大変勉強になっております。
引き続きプレゼン上手なY先生、
どしどしプレゼンの機会を設けていきますね(笑)

 

 

 

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