救急科

Primary Surveyもしっかり身に付いてきました

【投稿日】2021年5月28日(金)

緊急事態宣言が更に延長されますね。
延長されること自体は、
重症患者がなかなか減らない現状を考慮すると
医療者側からすると仕方が無い気もするのですが、
国民のためにやっているのか、
パラオリの開催のためにやっているのか。
そう思わなくていいように
早くそんな時期が過ぎてくれることを願うばかりです。

毎週金曜日夕方は研修医全員が集まって
色々なテーマで学習会をしています。
そのうち毎月1回はTがやっています。

4,5月は例年Primary Surveyを
しっかりと身に付けるための時間としています。

Primary Surveyは
内因性であれ、外傷性であれ、
バイタルサインに異常があれば
その原因を探りながら同時に
蘇生を行わなければいけない、
系統的に対応する診療です。

A:気道…発語はちゃんとあるか。
気道の異常が疑われれば気道確保を。

B:呼吸…SpO2、呼吸回数
頸部の視診上の頚静脈怒張、
呼吸補助筋の使用。
触診による気管偏位の有無、
皮下気腫の触知。
胸部の視診上の胸郭膨隆の有無、
外傷ならフレイルチェストを疑う奇異性呼吸。
聴診上の呼吸音減弱。
打診上の鼓音濁音。
触診上の皮下気腫、
外傷なら骨折を疑うような轢音や強い圧痛。
緊張性気胸が疑われれば早期の胸腔ドレナージ。
それが除外できれば、酸素投与を
経鼻カニューレ、マスク、
酸素リザーバーマスク、
ベンチュリ―マスクのどれで対応するか。
陽圧換気が必要なら、
まずはBVMで時間稼ぎを行い、
NPPV(非侵襲的陽圧換気)か
気管挿管による人工呼吸器管理を行うか。

C:皮膚の冷汗湿潤、脈拍数、
明らかな吐血喀血下血を含めて外に認める出血、
CRT(毛細血管再充満時間)、血圧
ショックが疑われれば、
RUShでエコー。外傷ならFASTのみでもOK。
胸部レントゲン。外傷なら骨盤レントゲンも。
心電図でSTEMI、不整脈、電解質異常の確認。
心原性ショックを除外し早期の初期輸液療法。
外傷なら外出血に必要な圧迫止血。
呼吸状態、循環動態が悪そうなら
BからCにシフトする時に
血液ガスで呼吸不全や代謝異常の評価を。

D:意識レベル評価をGCS(Glasgow Coma Scale)で。
瞳孔不同の有無。
明らかな片麻痺の有無。
迅速血糖測定で低血糖や高血糖性昏睡の鑑別を。
切迫するDがありそうなら、
脳卒中当直に相談、気管挿管の検討、
Secondary Surveyの最初にCTを。

E:体温の評価と加温か冷却の評価を。

この流れをフローチャートに沿って、
自然に身体が動くようになるまで、
練習をしてもらいます。

5月のシミュレーションで、
実技披露した研修医二人は、
しっかりとフローチャートを見ずに、
Primary Surveyをこなしてくれました!

人形トレーニングで出来るようになっても
現場では経験を重ねないと、
サッと動けません。
ただ、人形トレーニングで出来ないことは
決して現場でも出来ません。

まだ2カ月しか経っていませんが、
1年目研修医の皆は確実に色々なことを
身に付けてくれています!

 

 

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