気道・呼吸の異常の初期対応
【投稿日】2021年5月17日(月)
医療に関してベッド、マンパワーだけの
逼迫状況では無くなってきました。
全世界での人工呼吸器使用がかなり増えているがために、
鎮静剤の供給制限がかかってきています。
いよいよ、「命の選別」を否が応でも
本邦でも積極的に考えることを避けられなくなりそうです。
人工呼吸器を使用するのは当然COVID19患者
だけではありません。
その他の重症呼吸器管理が必要な患者、
通常の全身麻酔対応が必要な患者。
代替薬を使用して凌いでも、
その代替薬もそのうち供給制限がかかるでしょう。
変異株のCOVID19患者は明らかに
以前よりも若年でも重症になっています。
緊急事態宣言が形骸化し、
お上の人たちのことが信頼できないとは思いますが、
現場では色々なものがひっ迫しています。
是非自分や家族を守るための行動を
皆様宜しくお願いします。
毎月1回の多職種向けの
重症病態学習会。
今回は気道・呼吸の異常に関しての
初期対応について講義しました。
気道の異常は、
直ぐにバイタルサインの異常として現れない
最も緊急度の高いが、
殆どの内因性病態で
救命可能な病態です。
バイタルサイン、特にSpO2が下がり出すと、
数分で心停止に至る
非常に怖い異常です。
急性喉頭蓋炎や
中心静脈カテーテル誤穿刺、
頸部術後出血等による
医原性の頸部血腫を
例に気道の異常の恐怖について
アピールしました。
確実な気道確保のアルゴリズム、
外科的気道確保の適応について
話すものの、実際にその現場に遭遇した
経験が無いと、輪状甲状靭帯切開を
現場で行う決断力が
なかなか身に付かないのが実際のところです。
ちなみに気道確保困難患者のマネジメントに関して、
NEJMで本当に最近アップデートされたレビューが
報告されましたので、
是非気道確保に関わる領域の皆様は
一読して下さい。
Management of the Difficult Airway. N Engl J Med 2021; 384:1836-1847
ついで呼吸の異常に関して。
まずは緊張性気胸のような脱気が必要な病態か
瞬時に身体診察で確認。
何故なら他の呼吸不全と異なり、
補助陽圧換気をすると
更に呼吸状態が悪化していく病態だからです。
緊張性気胸の診察所見の特徴、
胸腔穿刺、胸腔ドレナージについて説明。
次いで、直ぐに陽圧換気が必要な
うっ血性心不全について。
初期対応は血圧を意識した
クリニカルシナリオで考えるのが有用。
血圧が保たれているうっ血性心不全は、
高濃度酸素投与でも起坐呼吸が改善しなければ
直ぐに非侵襲的陽圧換気(NPPV)。
硝酸薬の投与も早めに考慮。
やや蛇足の要素もありますが、
今年度循環器学会から心不全関連で
救急領域でも関連する内容が
アップデートをされていますので参考にして下さい。
2021年 JCS/JHFS ガイドライン
フォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療
2021年改訂版
循環器疾患における緩和ケアについての提言
他にも気管支喘息発作は発作強度を確認して
早期に治療の開始を。
Ⅰ型呼吸不全かⅡ型呼吸不全か
既往、診察所見、血液ガスから総合的に判断し、
酸素投与の仕方を変えること。
ポイントを多岐に渡ってお話して、
最期にクリニカルシナリオ1の
うっ血性心不全患者のNPPV装着する
症例をデモシミュレーションしました。
講義だけ聞いてもイメージが湧きにくいので、
緊急度の高い病態はやはり
シミュレーショントレーニングに限ります。
こんな時期ではありますが、
感染対策はして、現場対応に必要な講義は
めげずに継続してやっていきます!
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