救急科

エアロゾルボックス

【投稿日】2020年5月11日(月)

緊急事態宣言が延長され、果たしていつまで延長するのか悩ましいですね。
出口戦略を明確にしていかないと、国民も疲弊していきます。
批判する人も少なからずいますが、
やはり大阪府知事は素晴らしい対応をしていますね。
明確な答えのない問いに対して、どのように引っ張っていけるかは
リーダーの素質として非常に大事です。
見習うべきことが多々あります。
正解のない問いに対してどんな答えを導き出したとしても
必ず批判をする人は出ます。
100%味方にすることは出来ません。
救急医療の現場も一緒です。
批判を受け止めつつも、全て真に受けていたら何も出来なくなります。
最悪を想定して最良を選択する、ということを
その都度考えていく必要があります。
TもERに限らない外来部門でのCOVID-19対応に
関して色々と柔軟に引き続き対応していきます。

さて、エアロゾルボックスなるものが、
気管挿管の時に空気感染対策として注目されています。

元ネタの論文はこちらになります。
Barrier Enclosure during Endotracheal Intubation

新型コロナウイルス感染の予防を特にしないといけない手技、
AGP(Aerosol Genralizing Procedure;エアロゾル発生手技)の
代表的なものとして気管挿管があります。
ヤツ等は下気道に最も存在すると言われており、
そこを目掛けて行う気管挿管はかなり感染リスクが高いわけです。
そういう人たちは重症であり、一刻を争いますし、
だからと言って、医療従事者も感染対策を怠れません。

エアロゾルボックスを
色々な施設で作成、購入している話は良く聞きますが、
イザ、という時に準備をしっかりしておかないと、
結構使いづらいため、結局使われず仕舞いになってしまう、
というのがオチになっている話も結構聞きます。

ということで、TもERでシミュレーションしつつ、
マニュアル作成に努めております。

アクリルボックスです。

頭側に挿管用の腕を入れられる穴が二つあります。
西京区の地元企業に作成してもらいました。
有難うございます!
こういう時だからこそ、異業種連携が重要です!
BCP(Business Continuity Plan;事業継続計画)にも
大いに役立っていくと思います。

介助者は通常患者の右側に立って介助するのですが、
それが出来ません。
首側から介助しないといけません。

 

そのためには、挿管前の前酸素化⇒人工呼吸器接続を
円滑に感染対策もしっかりしながらの物品準備がやはり重要です。

普段と違って、予め人工呼吸器用の延長チューブ、人工鼻、
ETCO2モニターを外れないようにガッチリテープ固定です。

 

そして閉鎖式の吸引管を接続し、人工呼吸器装着。
そして人工鼻から身体側のチューブが絶対外れないように、
接続部をガッチリテープ固定。

 

原論文の動画を見てると、メッチャ便利やん!
と思いますが、事前準備しないと、
不慣れなことは緊急時にただストレスになってしまいます。

今回のコロナショックは経済に大打撃を与えていますが、
医療の感染対策にもかなりの価値観の更新を迫っています。

世界規模のパンデミック。
現代で例を見ない規模になりました。
正直誰もが逃げられない状況です。
ギリギリまで逃げようとするのか、
それとも正面から対峙して、
変化できるのか。
あらゆる分野でそれを問われています。

やはり時にはあの名言が響きますね。

最も強い者が生き残るのではなく、
最も賢い者が生き延びるのでもない。

唯一生き残ることが出来るのは、
変化できる者である。

-チャールズ・ダーウィン

ベタな名言かもしれませんが、
ベタなことをやって生き残りましょう。
基本原則はいつの時代も不変です!

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