栄養部門

管理栄養士とたんぱく質

こんにちは!管理栄養士のINです。

皆さん、栄養科のブログ、読んでくれていますか?

私も一読者として、仲間が書いてくれるブログを読んでいるのですが、

田植えをしたり、じゃがいもを植え付けたり、和菓子を作ったり、京都の名所を観光したり、

みんなが素晴らしい体験をしていて「羨ましいな~!」と思っています。(笑)

 

 

今回私は、6月に横浜で開催される日本透析医学会で、当科の科長が座長をする「よくわかるシリーズ8:たんぱく質の質と腎臓との関係~食事パターンも含めて~透析患者の栄養管理update」の新潟大学の佐藤弘恵先生が研究されている「たんぱく質」についてお話しします!

 

たんぱく質と聞くと、何を思い浮かべますか?

 

身体の構成成分であるたんぱく質を思い浮かべたり、肉、魚、大豆製品などのたんぱく質食品を思い浮かべる方もいるかもしれません。

管理栄養士としては、患者さんの栄養管理計画を設定する上で、たんぱく質の目標量をどの程度に設定するかというのは頭を悩ませるポイントでもあります。なぜなら、たんぱく質は身体に必要不可欠な栄養素であるのと同時に、過剰摂取で身体に悪影響を与える場合もあるからです。管理栄養士は患者さんの体格、普段の生活、食事摂取状況、運動状況、血液生化学データ、尿検査データ、疾患の状態など様々なことを加味して、たんぱく質の目標量を設定します。

 

 

今回、佐藤弘恵先生の論文1)2)を読ませていただいたのですが、たんぱく質のことが色々な角度から掘り下げられており、大変興味深かったです!!私はいつもたんぱく質の「量」に着目して、「この患者さんに必要なたんぱく質は何グラムだろう」と考えてしまうのですが、本論文では、たんぱく質の「質」をもっと検討するべきではないかと言及されていました。

 

たんぱく質は食事として摂取された後、消化器官を通るうちに消化・吸収されます。本論文では、たんぱく質の消化吸収率や、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質の栄養上の特徴、それぞれの腎臓への影響など、本当に様々な点からたんぱく質について考察されていました。

 

 

個人的に特におもしろいと思ったのは、「調理法による消化吸収の違い」です。高齢者において、牛ステーキとミンチ肉では、ミンチ肉の方が血中アミノ酸濃度の上昇が早かったという報告3や、十分に焼いたステーキ肉とレアのステーキ肉の比較試験では、血中アミノ酸やロイシン濃度の上昇が、十分に焼いたステーキ肉の方が高かったという報告4)があるとのことです。「火を通した方が消化がよい」と普段何となく思っていたことが、きちんと研究されて論文報告もされているというのが興味深かったです。また、数字だけにとらわれるのではなく、「どのような状態で患者さんの体内に入るか」という視点も、管理栄養士として忘れてはいけないところだなあ、と感じました。

 

 

疾患により、たんぱく質の摂取量に注意が必要な患者さんと、栄養相談でお話しする機会が多いですが、「量」に加えて「質」の面も考慮したお話しができるようになりたいです。そしてぜひ、この論文を書かれた先生のお話を直接聞いてみたいなあと思いました!

気になる方は、ぜひ「第69回日本透析医学会年次学術集会」のプログラムをチェックしてみて下さいね。佐藤弘恵先生のご講演は6/7(金)17:25~18:25、学会の開催日は6/7(金)~6/9(日)、場所はパシフィコ横浜です。

 

プログラム | 第69回日本透析医学会学術集会・総会 (congre.co.jp)

 

長いブログにお付き合いいただき、ありがとうございました!!

 

(画像は、INが5年前にハワイで食べた本場のステーキです!また食べたい!)




1)
佐藤弘恵 他,「たんぱく質の質と腎臓の関係 -食事パターンも含めて- 」日本腎臓学会, 2019615):563-573.

2) 佐藤弘恵 他, CKDに合併したサルコペニア・フレイル改善のための食事療法 -たんぱく質を中心に」, 腎臓内科, 161):67-75, 2022

3) Bart Pennings, et al, Minced beef is more rapidly digested and absorbed than beef steak, resulting in greater postprandial protein retention in older men. Am J Clin Nutr, 2013; 98: 121-128.

4) Buffiere C, et al, In the elderly, meat protein assimilation from rare meat is lower than that

from meat that is well done. Am J Clin Nutr 2017; 106: 1257-1266.

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