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勉強会

2020.04.27ブログ

こんにちは.研修医2年目になりました,まるです.

 

 

このまえの金曜日は,研修医でNEJMのClinical Problem Solvingという特集にある症例を使って,勉強会をしました.

 

症例は40歳女性で,主訴は全身の疼痛・倦怠感・体重減少でした.

3か月前から徐々に両側側腹部の全体的な痛みが生じ,次第に腰部・腹部・両上腕・両下肢に広がっていきました.疼痛は体動により悪化し,2週間前からは介助なしには歩行できなくなって最終的には家から出られないほどになりました.体重は約4㎏減少し,BMI:16程度まで痩せてしまいました.既往には未熟奇形腫とHBV感染症があるようです.

血液検査を見ると低カリウム血症と代謝性アシドーシスがあり,また画像検査では全身に骨折がありました.

 

癌の転移なのか,あるいは血管炎や膠原病のようなものなのか,はたまた感染症か,代謝性の骨軟化症なのか...

 

1年目も2年目も活発に意見を出し合いながら,鑑別疾患や次にどんな検査をしたいのか議論を進めていきました.

 

 

本症例の診断の糸口は,血液検査であった低K血症と代謝性アシドーシスでした.

血中のKとH+は同じ方向に動くことが多く,Kが減っているのにH+が増える病気は,国試レベルでは下痢と尿細管性アシドーシスぐらいです.本患者は下痢の症状はなく,尿細管性アシドーシスを引き起こす疾患に鑑別を絞ることができました.

 

尿検査をすると,蛋白や糖だけでなくKやPなどの電解質もたくさん排泄されており,Fanconi症候群と診断されました.全身の骨折による疼痛の原因は,Fanconi症候群により低P血症となり,骨軟化症が起きたことでした.

 

 

非常に難しい症例でしたが,活発な議論で見事に正解にたどり着きました.

1年目の先生方は国試を終えたばかりということもあり,僕たちが忘れてしまった病気の知識もたくさんあって,非常によい刺激を受けました.

 

 

当院では研修医の時に身に着けておきたい救急,放射線の読影,総合診療的な全般的な知識を学ぶ勉強会が,それぞれ週1回は必ず開催されるので,知らず知らずのうちにどんどん知識が蓄積されていきます.

指導熱心な先生も多く,非常によい環境で初期臨床研修を送れているなと,日々実感しています.

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