肺癌の手術療法に関しては、4-5cmの皮膚切開による小開胸で、モニター視のみで手術を行う完全鏡視下の胸腔鏡手術を施行しています。また、小型で淡い陰影の早期肺癌や低肺機能の症例に対しては、切除範囲を小さくして健常肺をなるべく残す縮小手術として、胸腔鏡下の区域切除を積極的に行っています。最も多く行われるのが、肺癌に対して肺葉切除が行われた低肺機能の患者さんが経過観察中に認められた早期の第二癌症例や、低肺機能の患者さんです。ほとんどの施設で行われている胸腔鏡下区域切除は、電気メスなどの熱凝固で区域の間を切離され、その区域面に血液製剤であるフィブリン糊が用いられていますが、当院での区域切除は、血管と気管支の走行から解剖学的な区域面を熱凝固を行わないで作成していますので空気漏れが少なく、原則としてシートや血液製剤であるフィブリン糊などを使用していません。進行肺癌で遠隔転移病巣がない人は、抗がん剤による化学療法や放射線療法を行い、癌を小さくしてから切除する方針をとっています。
嚢胞性疾患である自然気胸や縦隔腫瘍に対しても、胸腔鏡手術で行っていますが、前縦隔の大きくない腫瘍に対しては、痛みの少ない上腹部に5cmほどの切開を行い、胸骨の裏を剥離して切除する剣状突起下アプローチによる手術も行っています。
それから、呼吸器疾患ではありませんが、手掌多汗症に対して胸腔鏡下交換神経節切除術を行っています。これは、手のひら(手掌)に大量の汗が出る疾患に対して、胸の中にある汗を出す神経である交感神経を一部切除して汗を止める手術です。手のひらに出る汗は健康を損なうことはないのですが、これが非常に多くてハンディと思われる方に、これを止める手術を行っています。手術は腋の下に5mmの穴(ポート)を2つ開けて胸の中を走行する汗の出る神経(交感神経)の一部を切除します。背中や下半身の汗が増える代償性発汗が発症することが多いですが、手術室を出た時から掌の汗が完全に止まります。 |