


日本の高齢社会化が進むにつれ、動脈硬化性疾患がますます増加の一途を辿っておりますが、寒い時期の心臓、血管疾患で生命に直結するものと言えば、急性心筋梗塞、急性大動脈解離、急性大動脈破裂などが挙げられます。今回、急性大動脈解離、急性大動脈破裂などの原因となる動脈瘤の治療について話したいと思います。
動脈瘤とは心臓から血液が流れ出ていく血管=動脈がこぶ状に膨れ、正常径の1.5倍以上に拡大した状態を言いますが、ほとんどの場合症状が無く、突然、激痛を伴い破裂、出血して生命に関わることがある疾患です。胸部あるいは腹部大動脈に4〜5p以上の瘤が見つかると予防的に(破裂する前に)手術をお勧めします。
手術は人工血管に置換する手術が基本となりますが、大きな手術で体に対する負担が大きいことが懸念されています。近年、2006年に日本で保険適応となったステントグラフト手術は急速に発展し、動脈瘤手術数の1/3に達しようとしています。
ステントグラフトとはステントと言うステンレスやナイチノールなどの金属と人工血管(グラフト)が一体となったもので、通常、大腿動脈などから細いシステムを使用して血管内に挿入し、疾患部(動脈瘤部)で拡げて瘤への血流を遮断し、破裂を予防するものです。(下図参照)
利点は数々あり、低侵襲手術で身体へのダメージが少ない(創が小さく痛みが少ない)、手術時間が1〜2時間と短い、輸血はまず必要としない、よって回復が早く入院期間が短い(5〜10日間)などが挙げられますが、欠点もあり、すべての動脈瘤に治療が出来ない、20年後などの長期間の成績が不明であることなどです。
京都桂病院では積極的にステントグラフト手術を取り入れ、最近では緊急手術にも対応できるようになっています。症状が無くても破裂する前に治療することが大切な病ですので、ご心配な方は是非ご相談頂ければ幸いです。
